「美女と野獣・白雪姫・眠れる森の美女」に見るゲルマンの神秘の森🌳の巻✨
ディズニーアニメーション映画「美女と野獣」
1991年制作
オフィシャルサイトより
「18世紀フランス。森の奥にある城に、若く美しいが、高慢で我がままな王子が住んでいました。ある冬の夜、みすぼらしい老女が城にやって来て、一輪のバラを宿代代わりに差し出し、一晩泊めてほしいと頼みました。しかし老女の醜さを嫌った王子はそれを断ります。老女は「見かけで人を判断すると、心の奥底の真実が見えなくなってしまう」と忠告しましたが、王子は聞く耳を持たず再び追い返そうとしました。すると突然老女は美しい魔女へと姿を変えると、優しい心を持たず人を外見で判断する王子と、王子をそのように育てた召し使いたち、さらにその城全体に魔法をかけ、王子を恐ろしい野獣の姿に、召し使いたちを家財道具の姿に変えてしまいました。魔女が残した一輪のバラの花びらが全部散るまでに、王子が人を愛し人に愛されることを学び、「真実の愛」を見つけることができなければ、王子と召使いにかけられた魔法が解けることはないのです。王子は己の醜い姿を恥じて、森の奥深い城に閉じこもり、失意と絶望のうちに十年の歳月が流れていきます。
荒廃した城にやって来たのは、読書が好きな村娘ベルでした。」
「シャンボール城」
Wikipediaより引用
実写版「美女と野獣」で、愛の力によって美しい城に生まれ変わる、野獣が住む城のモデルは、フランスのロワール地方にある、フランス・ルネサンス様式の最高傑作といわれる「シャンボール城」です。
国王フランソワ1世が、イタリア遠征でルネッサンス芸術に感銘を受け、帰国後の1519年に建造に着手しました。見どころは天守の中央にある二重螺旋階段で、人がすれ違わずに昇降できる巧みな仕組みになっています。当時のフランスとしては革新的な設計であることから、国王に招かれたレオナルド・ダ・ヴィンチの発想が取り入れられたと言われています。
ディズニー 実写版映画「美女と野獣」
2017年制作
DVDカバーより引用
フランス東部のアルザス地方にある「コルマール」は、実写版「美女と野獣」のベルの住む「ヴィルヌーヴ村」のモデルとなりました。
ドイツとの国境からすぐ近くで、かつてはドイツ領になっていたこともあり、ドイツの影響を受けたアルザス地方特有の木組みの建物や尖塔、出窓や石畳みの道がそのまま保存されています。
「Petite Venies(プティットヴニーズ)」と呼ばれる、運河沿いに並ぶ家々のカラフルな壁と出窓やバルコニーに飾られている花々がメルヘンチックで、石畳の通りにベルが歩いて来そうな雰囲気でした。
ディズニー映画の中で、一番好きな作品が「美女と野獣」です。2022年、社交ダンスのパーティで、「美女と野獣」の曲で、ワルツとヴイニーズワルツを踊りました。
「白雪姫」
ディズニーアニメーション映画
1937年制作
DVDカバーより引用
世界初の長編カラーアニメーション
「昔、白雪姫という美しい姫がお城で暮らしていました。魔法の鏡に、自分より白雪姫の方が美しいと言われて怒り狂った、継母である王妃は、白雪姫を殺すよう狩人に命令します。哀れに思った狩人に命を助けられた白雪姫は、暗い森の奥へと迷い込み、7人の小人が暮らす家にたどり着きました。小人たちと一緒に楽しく過ごす白雪姫でしたが、魔法で老婆に化けた王妃に騙され、毒リンゴを口にしてしまいます。」
スペイン アルカサル城
Wikipediaより引用
「白雪姫」は、グリム兄弟がドイツの民間伝承を収集してまとめ上げた「グリム童話」が原作ですが、「白雪姫」のお城は、スペインの古都セゴビアのアルカサル城がモデルと言われています。
「眠れる森の美女」
ディズニーアニメーション映画
1959年制作
DVDカバーより引用
「舞台は14世紀の西ヨーロッパ。オーロラ姫は、自身の誕生の宴に現れた魔女マレフィセントによって、『16歳の誕生日の日没までに糸車の針に刺されて死ぬ』と呪いをかけられます。」
「ユッセ城」
Wikipediaより引用
「眠れる森の美女」のオーロラ姫が眠りにつき目覚めた城のモデルとされているのが、フランスのロワール地方にある「ユッセ城」です。
西ヨーロッパのとある国とだけ舞台設定されており、城のモデルには諸説ありますが、「民間伝承」をもとに「眠れる森の美女」を創作したシャルル・ペローがフランスの詩人であることから、ロワール川支流に立つユッセ城に魅せられて、この物語を執筆したと言われています。
ドイツの黒い森(シュバルツバルト)
Wikipediaより引用
この「美女と野獣」「白雪姫」「眠れる森の美女」の3つの物語に共通しているのが「森」が舞台となっていることです。キリスト教を受け入れる前のゲルマン人が信仰していたのは、森や樹木でした。ゲルマン人にとって、森は妖精が住み、木々には神秘の力が宿る神聖な場所であると同時に、狼など恐ろしい動物や魔物が潜む怖い存在でもありました。
国土の3分の1を森林が占める森の国ドイツで生まれた「グリム童話集」には、森を舞台にした物語が多く、シュバルツバルト(黒い森)は、グリム童話ゆかりの地と言われています。
深い森を切り開いて畑を作るところから、ドイツの歴史は始まります。ドイツの人々は、その畑でビールの原料となる大麦を育て、森に無数に落ちているドングリが豚を育てました。
ドイツやフランスなど、西ヨーロッパの国々は、鬱蒼(うっそう)と茂る巨大な森によって分断されていましたが、商業が発達し、村々を結ぶ道が森を横切り整備された17〜18世紀以降、人々は自由に森を往来できるようになりました。
ゴシック式の教会の特徴として挙げられる
①そびえ立つ尖塔 → は、ゲルマン民族が古来
信仰していた樹木信仰の樹木を表し、
②パイプオルガン → は、森の中で聞こえる鳥
の、さえずり
③ステンドグラス → は、木漏れ陽を表している
という説があります。
教会は、ゲルマンの人々が神聖な場所としていた森を表したものだと考えられています。
ドイツとの国境近くにあるフランスのアルザス地方にあるストラスブール大聖堂は、ゴシック建築の傑作と言われています。高さが142メートルあり、200年もの間キリスト教建造物の中で世界一の高さを誇っていました。その高さに圧倒され、ステンドグラスの美しさに息をのみました。332段の螺旋階段を上ってたどり着いた展望台からは、シュバルツバルトの森が見えました。
まだ読まれてない方は、「マリーアントワネット編③ストラスブール⛪️✨の巻」を読んでいただけますと幸いです。
「美女と野獣」は、ベルを愛するようになった野獣がベルに愛され、真実の愛を知ったことにより、元の王子の姿に戻り、召使いたちや城への呪いも解けて、2人の結婚を祝う盛大な舞踏会が行われます。
ともに、悪い魔女の呪いにより、長い眠りについた白雪姫とオーロラ姫は、それより前に出会って恋に落ちた王子のキスによって目覚め、結ばれてどちらもハッピーエンドとなります。
「世界の童話 2 グリムの物語」
発行所 小学館
幼稚園の年長クラスに上がった時に、父が買ってくれた絵本です。父は23年前に他界しましたが、その時のことは今でもはっきりと覚えています。幼稚園に迎えに来てくれた父が、車の中で5巻セットの絵本を渡してくれました。飛び上がるほど嬉しくて、その日から何度この本を読み、挿絵に見入ったことでしょう。「ねむりひめ」「おかしのいえ」「あかずきん」「きんのがちょう」「しちひきのこやぎ」の5つの物語が収録されていますが、一番心を踊らせ、何度も読み返し憧れた物語が「ねむりひめ」でした。私の世界史教員としての原点は、この絵本かもしれません。
5巻セットの中に、「世界の童話 4 アラビアンナイト」があります。
次の、「アラジン」で紹介したいと思います。